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足首捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限)の原因は靭帯損傷ではありません

 
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鍼灸師、あんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得しています。 でも、鍼は使わず、手技のみで「筋膜(fascia)」の調整をしています。 イタリアの理学療法士、ルイージ・ステッコ氏によって考案された『筋膜マニピュレーション®』の国際コースを全て修了しています。さらに、2018年6月にイタリア本部で試験を受けて、筋膜マニピュレーション®セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)として正式に認定されました。この認定を受けているのは日本ではまだ24人。さらに、イタリア本部で試験を受けたのは6人だけ。日本では数少ない筋膜のプロフェッショナルです。
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こんにちは!

世田谷エリアで唯一の筋膜マニピュレーション®認定セラピストの柿沼秀樹です。

足首を捻挫したことのある方、多いですよね。

実際に「足関節捻挫」は最も多いスポーツ障害のひとつです。

しかし、軽視されがちで適切な治療を受けていない方が多い。

そのためだと思いますが、捻挫の後遺症に長期間(6~18か月)苦しむ割合は72%というデータもあります。

たくさんの方が悩んでいるのに、これまでは画期的な治療法がありませんでした。

今回は、捻挫の後遺症に関する医学論文の内容を参考にしながら、捻挫の後

  • いつまでも痛みが残る
  • 足首がゆるい感じがする
  • 正座ができない
  • 深くしゃがめない

などの症状を「捻挫の後遺症」と定義して、その本当の原因をつきとめ、最も効果的な治療法をご紹介します。

論文のタイトル

先ずは、ご紹介したい論文のタイトルです。

“RMI study and clinical correlations of ankle retinacula damage and outcomes of ankle sprain”

※論文はこちらのサイトからご覧になれます↓↓↓↓

https://www.researchgate.net/publication/49821211_RMI_study_and_clinical_correlations_of_ankle_retinacula_damage_and_outcomes_of_ankle_sprain

こちらが執筆者たち

Antonio Stecco・Carla Stecco・Veronica Macchi・Andrea Porzionato・Claudio Ferraro・Stefano Masiero・Raffaele De Caro

このタイトルを日本語に訳すと

「足関節支帯損傷と足関節捻挫後遺症におけるMRI画像の研究と臨床的関連について」

みたいな感じですかね。

MRIの画像などを使って、足関節捻挫の後遺症と足関節支帯シタイとの関係を解き明かしていこうというのが論文の主旨です。

支帯(したい)とは何か?

足関節の支帯がどんなものかは図をみてもらうと分かりやすいと思います。

引用元:「ネッター解剖学アトラス」(南江堂)

足首の周りをバンド(帯)のように巻いているのが支帯です。

図に赤い下線で示したように、足首には

  • 上伸筋支帯(じょうしんきんしたい)
  • 下伸筋支帯(かしんきんしたい)
  • 上腓骨筋支帯(じょうひこつきんしたい)
  • 下腓骨筋支帯(かひこつきんしたい)
  • 屈筋支帯(くっきんしたい)

の5つの支帯があります。

※屈筋支帯は内踝(うちくるぶし)と踵(かかと)を結んでいるのですが、この図には描かれていません

かつて、支帯は腱や神経などを束ねて関節を安定させておくことが主な役目だと考えられていました。

ところが、最近の研究によってもっと別の重要な働きがあることが分かってきたのです。

支帯の役割

基本的に、支帯は筋膜が発達して分厚くなったものです。

なので、脛(すね)やふくらはぎの筋膜とつながっていて、分離することはできません。

支帯(したい)の最も重要な役割とは、感覚を伝えるセンサーとしての働きです。

支帯(したい)には固有受容器(こゆうじゅようき)と呼ばれるセンサーが沢山あります。

  • 自由神経終末:痛みを感じるセンサー
  • ルフィニ小体:皮膚にかかる圧を感じるセンサー
  • パチニ小体:圧の変化と振動を感じるセンサー

など。

こういったセンサーからの情報によって、足首の関節がどの位曲がっているかなどを脳は判断しているのです。

関節運動にとってこれらのセンサー(固有受容器コユウジュヨウキ)からの情報は、とても重要です。

論文の目的

この研究の目的は、足首の捻挫後遺症での支帯(したい)の影響を明らかにすること。

捻挫の後遺症のある25名が調査の対象です。

先ずは全員のMRIを撮って損傷の程度や状態を確認します。

その中でも「支帯だけが傷ついたケース(グループA)」と「支帯だけでなく靭帯も傷ついたケース(グループB)」の2つのグループに分けます。

グループA = 支帯だけが傷ついたケース

グループB = 支帯だけでなく靭帯も傷ついたケース

2つのグループに対して、

  1. 痛みの程度(0~10までの数字で痛みを表現する)
  2. 質問表による重症度(質問:「痛みなく歩ける距離は?」などの答えを数値化する)
  3. 重心動揺性(特殊な装置に乗って重心の位置がどの位動くかを測定)
  4. 関節可動域の制限(十分に関節を動かせるかどうか)

を評価します。

その後、筋膜マニピュレーション®(Fascial Manipulation®)の施術を3回行います。

※引用元:https://www.researchgate.net

そして、治療の直後、1カ月後、3カ月後、6カ月後に再評価をして治療効果を測定します。

要するに、グループA「支帯だけが傷ついたケース」とグループB「支帯だけでなく靭帯も傷ついたケース」にどれだけ差が生まれるかを調査するのです。

調査の結果

MRIの画像解析

MRIを使うと骨や靭帯(じんたい)だけでなく支帯(したい)の状態が確認できます。

引用元:https://www.researchgate.net

上の画像はそれぞれ

A:支帯(したい)に断裂がみられる

B:支帯(したい)に浮腫がみられる

C:支帯(したい)と皮下組織が癒着している

状態が確認できます。

筋膜マニピュレーション®の治療効果

「支帯だけが傷ついたケース(グループA)」と「支帯だけでなく靭帯も傷ついたケース(グループB)」の2つのグループとも大幅な改善がみられました。

  1. 痛みの程度(0~10までの数字で痛みを表す)
  2. 質問表による重症度(質問:「痛みなく歩ける距離は?」などの答えを数値化する)
  3. 重心動揺性の検査(特殊な装置に乗って重心の位置がどの位動くかを測定)
  4. 関節可動域の制限(十分に関節を動かせるかどうか)

全てにおいて2つのグループとも同じような結果が得られました。

治療効果は2つのグループでほとんど違いがみられなかったのです。

※下の表は2つのグループの平均値を表しています。左が痛みの程度、右が質問表による重症度スコアです。両方とも大幅に改善しているのが分かります。縦軸が痛み(左)と重症度(右)、横軸が時間を表しています。

引用元:https://www.researchgate.net

これは何を意味しているでしょうか?

整理しますね。

足首の捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限)に対して筋膜の治療(筋膜マニピュレーション®)を行った。

↓↓↓

「支帯(筋膜)だけが傷ついたケース」と「支帯(筋膜)だけでなく靭帯も傷ついたケース」共に大幅に改善した。

↓↓↓

2つのグループの間には大きな違いはなかった。

支帯(したい)の治療で、「支帯だけでなく靭帯が傷ついたケース」もよくなったということは、捻挫の後遺症の症状は靭帯ではなく筋膜(支帯)が関わっていると言えるでしょう。

結論

靭帯に損傷があってもなくても、支帯(筋膜)の治療をした結果、足首捻挫の後遺症は改善しました。

このことから、

足首の捻挫の後遺症の原因は靭帯ではなく筋膜(支帯)が傷つくことである

筋膜の状態が正常に回復すると足首の捻挫の後遺症は改善する

捻挫の後、早期に適切な治療(筋膜の調整)を施せば足首の捻挫の後遺症は防げるだろう。

と論文では結論しています。

支帯(筋膜)が捻挫の後遺症を生むメカニズム

最後に、支帯(筋膜)が捻挫の後遺症を生じさせるメカニズムを簡単に紹介します。

解剖学的な影響

先ず重要なのは、支帯シタイは筋膜が発達して肥厚したものであること。

要するに、支帯も筋膜の一部なので、支帯と筋膜を分離することはできません。

足首の支帯はふくらはぎや脛(すね)、足部の筋膜と連続しています。

捻挫によって支帯(筋膜)が傷つくと、その影響はふくらはぎや脛(すね)、足部に及びます。

例えば、足首の支帯が傷つくと下腿カタイ(脛やふくらはぎ)の運動神経細胞が興奮しやすくなります。

支帯のダメージは、下腿カタイ(脛やふくらはぎ)全体の力の伝わり方を変えてしまいます。

その結果、下腿カタイ(脛やふくらはぎ)の筋肉の収縮力が変わってしまうのです。

具体的には、筋出力の低下が起こります。

うまく力が入らなくなってしまうのです。

こういったことが足首の不安定感の一因になっているのではないか、と個人的には考えています。

生理学的な影響

支帯(筋膜)には固有受容器(こゆうじゅようき)と呼ばれるセンサーがたくさんあるとお話しました。

脳はこのセンサー達からの情報を基に筋肉をコントロールして適切な関節運動を行っています。

捻挫によって支帯シタイ(筋膜)が傷つくと、内蔵されているセンサー(固有受容器コユウジュヨウキ)達の働きがおかしくなります。

センサーが興奮しやすくなったり、興奮しにくくなったりして正常に機能しなくなります。

これが捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限)の一番の原因です。

脳に正しい情報が伝わらないので、間違った情報をもとに間違った関節運動が起こります。

間違った関節運動は、足関節の周りの組織に負担をかけて炎症を起こしてしまいます。

それによって足首の周囲の痛みのセンサーをより興奮させてしまうのです。

これが慢性的な痛みの原因になります。

まとめ

これまで捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限)は靭帯損傷が原因だと考えられてきました。

しかし、最近の研究によって支帯シタイ(筋膜の肥厚したもの)の重要性が分かってきました。

支帯には、固有受容器(こゆうじゅようき)と呼ばれるセンサーがたくさんあります。

支帯が傷つくと、そのセンサー達が誤作動を起こします。

その結果、適切な関節運動ができなくなって、関節周囲の組織に炎症が生じて捻挫の後遺症になります。

つまり、捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限など)は、靭帯ではなく筋膜が原因だったのです。

捻挫の後遺症の改善には筋膜への施術(筋膜マニピュレーション®)が最も効果的だと思います。

さらに、捻挫受傷後に早い段階で筋膜のケアをすれば捻挫の後遺症(痛み・不安定感・可動域制限など)は防げるでしょう。

その効果を日々の臨床で痛感しています。

捻挫の後遺症には筋膜マニピュレーション®を!という選択がスタンダードになる日が来ることを願っています。

捻挫の後遺症にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

お力になれる自信があります。

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