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テニス肘の痛みが長引くのはなぜ?筋膜という視点

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テニス肘の痛みと筋膜の関係を解説する記事のアイキャッチ画像
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幼少期から大学までサッカー選手になることを夢見ていましたが、怪我を繰り返し、実力的にも難しいと感じてその道を断念。 ならば、「自分が治す人になろう。」と思い、専門学校に入学し理学療法士の国家資格を取得しました。 赤十字病院で整形外科を中心に中枢、内部疾患にも携わりながら約3年間勤務。筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)認定セラピスト(日本ではまだ24人しかいない)である院長から2年以上指導を受け、現在は認定セラピストを目指し臨床に専念しています。
テニス肘で痛む、肘の外側を指でさしている様子

テニス肘の痛みが、湿布や安静を続けても引いてこない。もしそうなら、見直す場所は「痛む肘」だけではないかもしれません。近年、肘の痛みには、肘とつながった「筋膜」の状態が関わっていると考えられるようになってきました。この記事では、筋膜と痛みについて分かってきたことを、研究をもとに——どこまで言えて、どこからはまだ分からないのかも含めて——正直にお伝えします。

ものを持つと肘の外側がズキッとする——それ、繰り返していませんか?

買い物袋を持ち上げた瞬間、肘の外側に走る痛み。ドアノブをひねる、タオルをしぼる、そんな何でもない動作でズキッとくる。湿布や安静で一度は楽になっても、また同じところが痛みだす——テニス肘(外側上顆炎)の、よくある経過です。

数週間で落ち着く方もいれば、何か月も付き合っている方もいます。後者の場合、「安静にしているのに、なぜ痛みが続くのか」がいちばんの謎ではないでしょうか。

なぜ、湿布や安静だけでは痛みが引ききらないのか

痛みが出る肘と、過去のケガで硬くなった可能性のある前腕の筋膜が、つながっていることを示した図

ひとつの見方として、痛む場所と、原因に関わる手がかりがある場所は、同じとは限らない、という考え方があります。テニス肘は「肘の外側が痛む」症状ですが、そこを冷やす・休めるだけでは届かない部分に、痛みが続く理由が隠れていることがあります。

その「届かない部分」の候補として近年注目されているのが、筋膜です。筋膜とは、筋肉や腱、関節まわりの組織を全身でつつみ、からだの動きや感覚に関わる膜のことです。肘の筋膜は、前腕や手首の筋膜ともつながっています。

筋膜は、肘の痛みとどう関係しているのか

腕の筋膜が、肘から前腕・手、肩から体幹へと連続してつながっている様子を示したイラスト(外側の肘を強調)

まず、なぜ筋膜が痛みに関わるのでしょうか。深い筋膜には痛みを伝える神経が豊富にあり、その状態が変わると痛みの発生源になりうる、と総説で整理されています(Weiss & Kalichman, 2021)。ひとつの説明として、筋膜の中の成分(ヒアルロン酸)が固まって粘りけが増すと、まわりの感覚センサーが過敏になり、痛みを生みやすくなる、と考えられています。

では、肘の痛みで、実際に筋膜は変わるのでしょうか。肘の痛みのある方に筋膜への施術(Fascial Manipulation®)を行い、前腕の筋膜の状態をMRIで施術の前後で調べた研究が報告されています(Menon ら, 2020)。分かったことを、正直な範囲でまとめます。

  • 対象は、3か月以上つづく慢性的な肘の痛みのある5名(症状は平均で約30か月つづいていた方々)。
  • 週1回・1回40分の施術を、3回行った。
  • その前後で、前腕の深い筋膜の水分の状態に、MRIで変化がみられた。
  • あわせて、腕の使いにくさも軽くなっていた(重いものを持つ・ひねるといった動作が、前よりしやすくなった方向の変化)。

施術中に筋膜で何が起きるかを複数の研究からまとめたレビューでも、一過性の局所的な反応や、筋膜の水分の状態の変化、自分の体の位置やバランスをつかむ感覚、とっさの反応のしやすさの改善が報告されています(Isaji ら, 2025)

この研究で言えること・言えないこと(正直なところ)

ここははっきりさせておきます。この研究は、あくまで小さな入口です。

  • 確かめたのは5名だけ。施術を受けない人と比べたり、その後を長く追ったりはしていません。研究者自身も、もっと多くの人で確かめる必要があると述べています。
  • 測ったのは「筋膜の状態」で、「テニス肘の痛みそのものが消えた」ことまでを確かめたものではありません。

ただ、これは「試して効かなかった」のではありません。筋膜は研究が比較的新しい分野で、大きな試験はこれから積み重なっていく段階だから、という面が大きいのです。

そのうえで言えるのは、施術の前後で筋膜の状態に変化が見られ、同時に腕の使いやすさも変わっていた、という点です。ここから、筋膜の状態が変わることで、痛みにも変化が起きる可能性がある、と考えています。

そして研究だけでなく、実際に当院で施術を受けた方が、その後どんな経過をたどったのかもご紹介しています。

では、その筋膜にどう向き合うのか(当院の考え方)

ここまでお話ししてきた「痛む場所だけでなく、つながった筋膜までたどる」という見方は、当院の施術の柱であるFascial Manipulation®(筋膜マニピュレーション)——イタリアの理学療法士 Luigi Stecco 氏が体系化した手技——が、そもそも全身の筋膜のつながりに着目する施術だからです。

具体的には、痛む肘の外側を強く揉むのではなく、そこにつながる前腕、さらに全身のつながりまでたどって、原因に関わっていそうな筋膜の要所を探し、そこにアプローチします。

先ほどの研究が筋膜の変化を測ったのは「前腕」でしたが、当院はそこを出発点に、見る範囲を肘や前腕だけにとどめません。痛む場所から離れたところに、痛みが続く理由が隠れていることがあるからです。

初回では、何を確認するのか

初回は、痛む場所だけをみることはしません。まず、今の痛みに至るまでの経緯を広くお聞きし、そのうえで体の動きと筋膜のつながりをみていきます。

  1. じっくりお話を伺います。今の痛みだけでなく、昔のケガや病気、スポーツ歴、これまでの生活も含めて、どんな経緯で今の痛みにつながっているかを一緒にたどります。
  2. 痛みが出る動きを実際に再現して、それを基準にします(「この動きで痛い」をはっきりさせます)。
  3. 見立てた筋膜の要所に施術し、さっきの「痛い動き」がその場で変わるかを一緒に確認します。

「重いものを持つときの構えが楽になった」「ドアノブをひねるのが気にならなくなった」——その場でそんな変化を口にされる方もいます。

続けるか・やめるかは、毎回の変化を一緒に確認しながら、ご自身で決められます。回数券で先に縛ることはなく、合わないと感じれば、いつでもやめられます。

肘の痛みが長引いているなら、まず一度、肘や前腕だけでなく、身体の状態を見せてください。初回は80分・16,500円(学割12,000円)。空き状況を見たうえで、来院するかどうかを決められます。

この記事を書いた人

この記事の書き手は、副院長(理学療法士)です。大森赤十字病院での勤務を経て、Fascial Manipulation® 国際コースの全課程を修了しました。施術は、Fascial Manipulation® の認定を受けた院長(国内に46名ほどしかいない認定者の一人で、日本人としては2番目に、イタリア本部の認定試験に合格しています)と、この副院長の二人体制で担当しています。

あわせて読みたい

「痛む場所と原因の場所は違うことがある」という見方は、テニス肘に限った話ではありません。ほかの症状(足底筋膜炎、足首の捻挫のあとに残る違和感など)でも、筋膜の視点から解説していく予定です。

「その場では楽になっても、またぶり返す」を繰り返している方は、肘と前腕の状態を筋膜のつながりから一度一緒に確認しませんか。

よくある質問

テニス肘は、痛い肘を揉まないのですか?

当院では痛む場所を強く揉むことはしません。Fascial Manipulation®では、痛む肘の外側だけでなく、前腕、さらに全身のつながりの中から筋膜の要所を見立ててアプローチします。

何回くらい通えばよいですか?

症状や経過によって異なります。毎回の変化を一緒に確認し、続けるかどうかをご自身で判断していただけます。目安として10日から2週間の間隔をおすすめしています。

医療機関の注射やレーザーと、整体院の筋膜への施術は何が違いますか?

注射やレーザーは医療機関で行う医療行為です。当院は医療機関ではないため、それらは行いません。当院では、痛む場所だけでなく、全身のつながりの中から筋膜の状態を見立て、手技でアプローチします。どの方法が合うかは状態によります。気になる症状は医療機関にもご相談ください。

一度よくなっても、また再発しませんか?

個人差はありますが、筋膜の硬さがしっかりとれると、簡単には戻りにくいと、施術をしていて感じます。もし戻ってしまう場合は、硬さが取り切れていなかったり、いちばん反応が出やすいポイントにまだたどり着けていない、ということも考えられます。当院では、なぜ戻るのかを筋膜のつながりから見立て直しながら進めます。

※当院は医療機関ではありません ※効果には個人差があり、本記事は研究の紹介と当院の考え方です ※気になる症状は医療機関にご相談ください

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幼少期から大学までサッカー選手になることを夢見ていましたが、怪我を繰り返し、実力的にも難しいと感じてその道を断念。 ならば、「自分が治す人になろう。」と思い、専門学校に入学し理学療法士の国家資格を取得しました。 赤十字病院で整形外科を中心に中枢、内部疾患にも携わりながら約3年間勤務。筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)認定セラピスト(日本ではまだ24人しかいない)である院長から2年以上指導を受け、現在は認定セラピストを目指し臨床に専念しています。

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