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親指の腱鞘炎は注射や手術で治らない? それは本当の原因にアプローチしていないからです!

 
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鍼灸師、あんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得しています。 でも、鍼は使わず、手技のみで「筋膜(fascia)」の調整をしています。 イタリアの理学療法士、ルイージ・ステッコ氏によって考案された『筋膜マニピュレーション®』の国際コースを全て修了しています。さらに、2018年6月にイタリア本部で試験を受けて、筋膜マニピュレーション®セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)として正式に認定されました。この認定を受けているのは日本ではまだ24人。さらに、イタリア本部で試験を受けたのは6人だけ。日本では数少ない筋膜のプロフェッショナルです。
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こんにちは、筋膜マニピュレーション®認定セラピストの柿沼です。

今回は「親指の腱鞘炎」について。

腱鞘炎にお悩みの方、本当に多いですね。

inflammation of the tendon sheath

「お皿が持てない!痛くて落としちゃう!」

「洋服のボタンがとめられない!」

「ペンを握れない!」

「字が書けない!」

「財布から小銭を取り出せない!」

「ものをつまんで持てない!」

などのお悩みで多くの方にご来院いただきます。

しかも長い間「親指の腱鞘炎」に苦しんでいる方が多いです。

「マッサージやストレッチをしても効果がない」

「注射をしたのに良くならない」という方も多い。

中には「もう治らないんじゃないか?」とあきらめかけている方もいます。。

でもちょっと待ってください。

あきらめるのはまだ早い!

本当の原因にアプローチすれば親指の腱鞘炎は治ります!

親指の腱鞘炎が治りにくい理由や本当の原因を明らかにして、最も効果的な治療法を紹介していきます。

腱鞘炎とは一体何が起こっているのか?

先ず、「腱鞘炎」では何が起こっているのかを整理しましょう。

腱鞘(けんしょう)という組織に炎症が起こるのを「腱鞘炎」といいます。

当たり前だけど(笑)。

手首の手前から指先にかけて通っている腱(けん)は、筋肉と骨をつなぐ丈夫な紐のような組織です。

腱鞘(けんしょう)は鞘(さや)という字を使いますが、むしろバンドのようなループになっていて、その中を腱が行き来することで指の曲げ伸ばしを滑らかに行うことができます。

手指を曲げ伸ばしするときには腱鞘の中を腱が往復するように動きます。この部分の通過障害による炎症を腱鞘炎といいます。

引用元:Medical Note 「腱鞘炎の概要と治療法ーばね指とドケルバン病」

引用元:日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」

手の指は腱によって曲げ伸ばしすることができます。

この時に腱が浮き上がってしまわないように、押さえておくのが腱鞘(けんしょう)です。

腱鞘(けんしょう)の中を腱が通過するようになっています。

手の使い過ぎなどによって腱や腱鞘(けんしょう)に炎症が起きてしまうのが「腱鞘炎(けんしょうえん)」です。

引用元:日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」

炎症が起きてしまうと上の図のように

  • 腱の肥大(腱がが太くなる)
  • 腱鞘の肥厚(腱鞘がむくんで分厚くなってしまう)

ということが起こります。

そうなると腱が腱鞘の中をスムーズに通れずに引っかかってしまいます。

ズリズリと腱と腱鞘がこすれてしまって、痛みが出るのです。

これがひどくなると「ばね指(弾発指)」「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」などになっていきます。

腱鞘炎の原因と考えられること

腱鞘炎の原因は大きく分けると以下の2つです。

1.使い過ぎ症候群

やはり手をたくさん使う方に多いですね。

  • キーボードを使う
  • 字を書く
  • 楽器を演奏する
  • 編み物をする

などなど。

最近ではスマホの使い過ぎが原因になってるケースが多いですね。

2.ホルモンバランスの乱れ

そして、ホルモンバランスの影響も言われます。

  • 腱鞘炎は女性に圧倒的に多い
  • 出産後に多い
  • 更年期に多い

これは女性ホルモンのエストロゲンが関わっていると考えられています。

エストロゲンには筋肉や靭帯(じんたい)、腱や腱鞘(けんしょう)を柔らかくする働きがあるので、エストロゲンが少なくなると腱鞘炎になりやすくなります。

腱鞘炎の一般的な対処法は?

1.炎症を抑える

炎症反応による痛みなので、炎症を抑えるために次のようなことをします。

  • 安静にする(なるべく使わない)
  • サポーター・テーピングなどで固定する
  • 湿布を貼る(消炎鎮痛剤)
  • 痛み止めを飲む(消炎鎮痛剤)

2.傷を修復する

これに加えて、炎症で傷ついた腱や腱鞘を修復する(回復させる)ために

  • 電気をかける(低周波治療)
  • マッサージ
  • ストレッチ

などをします。

3.ステロイド注射と手術

これで良くならなければ、炎症を抑える作用のあるステロイド注射。

ステロイド注射をしても再発を繰り返す場合は、手術を勧められるのが一般的です。

引用元:日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」

ところが、手術をしても痛みが再発することもあるんです。

一体どうしてでしょうか?

腱鞘炎はなぜ再発するのか? 本当の原因とは?

炎症だけでは説明しきれない痛み

腱鞘炎の痛みは、腱や腱鞘の「炎症」による痛みである!

ということに異論はありません。

実際に痛むところは

  • 「腫(は)れている」
  • 「熱を持っている」
  • 「赤くなっている」

などの炎症症状がみられますから。

しかし!

「炎症による痛み」だけでは説明しきれないことが起こっているのです。

それは、再発です。

  • 安静にする
  • 固定する
  • アイシングする
  • 湿布を貼る

などして炎症が収まってもまた手を使うと痛みがぶり返すことが多い

ステロイド注射をして、炎症を抑えたはずなのに数カ月もするとまた痛みが戻ってくる

さらには、

手術をしたのに痛みが取りきれない!

なんてこともあるのです。

どうしてでしょう?

私の考えは、こうです。

腱や腱鞘の炎症だけが痛みの原因ではない。

つまり、

炎症の他にも痛みの原因があって、それを改善していないので再発をくり返してしまうのだと。

では、他の原因とはなんでしょうか?

腱鞘炎のもうひとつの原因とは?

結論から言うと、それは筋膜です!

いきなり筋膜と言われてもピンとこないですよね?

簡単に説明してみますね。

筋膜とは私たちのからだをくまなく覆っているネット状の膜です。

私たちの皮膚の下にはこんな風に筋膜があるんです。

左側が正常な状態、右側は筋膜が固くなってテンションのバランスが崩れている状態。

筋膜の働きは大きく分けて3つ。

  1. 体を支える
  2. 筋肉の力を伝える
  3. 痛みなどの感覚を伝える(センサーがたくさんあります)

腱鞘炎の症状と関わっているのは、2の「筋肉の力を伝える」と3の「痛みなどの感覚を伝える」働きです。

手を使いすぎたりして筋膜が固くなると、指を曲げ伸ばしする力が伝わりにくくなって動きがスムーズでなくなります。

そして、動かすと痛みを感じやすくなります。

筋膜ってどんなもの?

筋膜は全身つながっていて、筋肉が収縮するとその力をとなりの筋肉へ伝える働きがあります。

筋膜が固くなって「力の伝達」がうまくいかなくなると、スムーズな動きができなくなります。

その結果、関節に負担がかかって痛みの原因になります。

指先の滑らかな動きや複雑な動きには筋膜が柔軟であることが必要なんです。

さらに、固くなった筋膜はテンションが高くなっているので、痛みのセンサーが過敏になります。

そのために少しの刺激でもすごく痛むように感じるのです。

腱鞘炎などの使い過ぎによる症状は、固くなった筋膜が関わっているのです。

ここで筋膜の構造を簡単に紹介しますね。

先程、「筋膜はネット状の膜」とお伝えしました。

毛糸で編んだセーターのようなものです。

筋膜がよじれるとどうなるのか?

同じ動きをくり返したりすると、ネットを構成している線維がギューッと寄り集まってよじれてしまいます。

ネットにシワが寄ってしまう感じです。

このよじれやシワができるとその周りにテンションがかかってしまうのです。

下の図のようなイメージです。

筋膜のよじれやシワを伸ばして元通りにするにはどうすれば良いか?

そのためには筋膜に直接働きかける必要があります。

具体的には筋膜のよじれた部分を見つけ出して、一定の力で圧迫して摩擦します。

まあ、簡単に言うと「少し押しながらゴシゴシこする(摩擦する)」んです。

これまで「筋膜」と呼んできたものは、深筋膜(しんきんまく)という組織です。

下の図をご覧ください。

これが皮膚から筋肉までの断面図です。

引用元:『自分でできる!筋膜リリースパーフェクトガイド』 竹井仁(自由国民社)

深筋膜(しんきんまく)が3層構造(緑で色分けした層です)になっていますよね。

要は3枚のシートが重なっている状態です。

引用元:『自分でできる!筋膜リリースパーフェクトガイド』 竹井仁(自由国民社)

実は、この3枚の筋膜はそれぞれ縦・横・斜め方向に独立して動くようにできているのです。

つまり、筋膜のシートはお互いに滑りあって自由に動ける必要があります。

先程から「筋膜のよじれ」と言っているのは、この3枚の筋膜シートが滑りあえなくなった状態のことです。

下の図をご覧ください。

上が筋膜のシートが滑れなくなってしまった状態。

下が自由に滑りあっている状態です。

筋膜を「少し押しながらゴシゴシこする(摩擦する)」のは、滑らなくなった膜たちをもう一度滑るようにするためなのです。

筋膜が固くなる ➡ 筋膜が滑らなくなる ➡ テンションがかかる ➡ 痛みのセンサーが過敏になる ➡ 痛みを感じる

という流れはご理解いただけましたか?

筋膜のよじれをほぐして膜の滑りを回復すると痛みが改善します。

関節の動きも良くなります。

炎症を抑えるだけでは腱鞘炎が治りきらない理由がこれです。

「筋膜のよじれをほぐして膜の滑りを回復させる」

これができないと

  • 痛みが取れない
  • 指の動きが滑らかじゃない
  • ステロイド注射や手術をしたのに再発する

ということが起こるのです。

5年間親指の腱鞘炎が治らなかったMさんの改善例(動画あり)

5年越しの腱鞘炎(50代女性)の改善例をご紹介します。

以下、Mさんのお話です。

5年ほど前から親指の付け根の辺りが痛むようになりました。

編み物が大好きなので、使い過ぎが原因だろうと思っていました。

左右両方とも痛みますが、左の方が悪いです。

更年期のせいか3年前から症状が悪化してしまいました!

どうしても親指を使うと良くない(痛む)ので、編み物をあきらめました。

これまで整形外科や整骨院へいって電気をかけたりストレッチやマッサージをしましたが、効果は一時的なものでした。

私の母も長い間腱鞘炎に苦しんでいたので、「この先ずっと付き合っていくしかないのかなぁ」と思っていました。

でも3週間くらい前から痛みがひどくなってしまって、「このままではマズい」と思ってネット検索してこちらをみつけました。

もし良くなるならなんとかしたいです。

とのことでした。

「もし良くなったら何がしたいですか?」とお訊ねしたところ、

「また編み物がしたいです!」と仰っていました。

5年間親指の腱鞘炎が治らなかったMさんの症状

施術室に入っていただいて、バッグを所定のかごに入れようとした時に

「痛っ!こういう時に痛むんですよね」と仰ってました。

ものをつまむと痛むようです。

痛む動きをまとめると

  • 「お皿が持てない」
  • 「物をつまめない」
  • 「(事務仕事中)親指で紙をめくる時に痛い」
  • 「親指を動かすと痛い」

ということになりました。

家事やお仕事中に痛むのは大変ですよね。

しかも大好きな編み物をやめているのに…。

痛む場所は親指の付け根の辺り。

下の写真の赤い点のところです。

※この写真は私の手です(笑)

動きの検査をしたところ、ご自身のバッグをつまんで持っていただくのが一番分かりやすかったので、それを効果測定に使うことにしました。

続いて、問診を通して分かったことはこちら。

  • 3歳~16歳までピアノを習っていた
  • 中学高校はバスケットボール部に所属(親指の突き指と足首の捻挫)
  • 20代半ばで本格的に編み物を学んだ
  • 事務の仕事で親指をたくさん使う

こうしてみると、手をたくさん使ってきたのは間違いなさそうですね。

5年間親指の腱鞘炎が治らなかったMさんの筋膜の状態は?

続いて筋膜の状態をチェック!

指先から肩甲骨の辺りの筋膜を丁寧に触診します。

「なんで肩甲骨の方まで?」と思われるかもしれませんね。

でも、指先を使うだけでも肩甲骨の辺りの筋膜まで連動して動くものなのです。

腱鞘炎の原因が肘や肩の筋膜にあることも珍しくないんですよ。

触診の結果、上の図の赤いポイントが「滑りが悪く」なっていました。

5年間親指の腱鞘炎が治らなかったMさんの治療後の動画

ポイントを全部治療して筋膜の滑りが良くなりました。

動画を撮らせていただいたので、ご覧ください。

施術前に動画を撮らせていただけば良かったと後悔してます(笑)。

これでまた編み物ができますね!

まとめ

腱鞘炎は治りにくい厄介な症状ですね。

でもそれはもうひとつの原因にアプローチしていないからです。

滑りが悪くなってしまった筋膜は痛みの原因になるし、動きも悪くしてしまいます。

しかも、痛む場所ではないところに原因があったりします。

  • 長い間腱鞘炎にお悩みの方
  • 注射や手術を勧められてためらっている方
  • 注射や手術をしたのに再発してしまった方

ぜひ、筋膜への施術をご検討ください。

お役に立てる自信があります。

腱鞘炎の記事はこちらにもあります。↓

親指の腱鞘炎なら注射や手術の前に、筋膜調整を試してみませんか?

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鍼灸師、あんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得しています。 でも、鍼は使わず、手技のみで「筋膜(fascia)」の調整をしています。 イタリアの理学療法士、ルイージ・ステッコ氏によって考案された『筋膜マニピュレーション®』の国際コースを全て修了しています。さらに、2018年6月にイタリア本部で試験を受けて、筋膜マニピュレーション®セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)として正式に認定されました。この認定を受けているのは日本ではまだ24人。さらに、イタリア本部で試験を受けたのは6人だけ。日本では数少ない筋膜のプロフェッショナルです。
詳しいプロフィールはこちら

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