なかなか治らないジャンパー膝には湿布やアイシングよりも筋膜調整が効く!
こんにちは!
筋膜のバランスを整えてあなたの自己ベスト更新をサポートします!
筋膜マニピュレーション®認定セラピストの柿沼秀樹です。
スポーツによる慢性的な膝の痛みって多いですよねー。
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
- 鵞足炎(がそくえん)
などなど。
結構な割合で慢性化して痛みを抱えながらプレーしている選手、多いんじゃないでしょうか?
今回は「膝蓋腱炎(ジャンパー膝)」について。
当院で行っている筋膜マニピュレーション®で膝蓋腱炎(ジャンパー膝)を治療した場合の研究論文があります。
その論文の内容に沿って、従来の対象法だけでなく、もうひとつの選択肢として筋膜調整の可能性をご紹介いたします。
この記事の内容
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは?
ジャンパー膝という名前が示す通り、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプをくり返す競技でなりやすいスポーツ障害です。
サッカーもボールを蹴ったり、ダッシュをくり返すので、発症する選手がいます。
原因は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のオーバーユース(使い過ぎ)で、膝蓋腱(しつがいけん)という腱に炎症が起こります。
膝蓋骨(しつがいこつ)というのは、膝のお皿のこと。
お皿についている腱を膝蓋腱(しつがいけん)。
膝蓋腱の炎症なので、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)となります。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の場合、痛むのは上の図の①か②です。
靭帯や腱が骨にくっついている所では、ストレスがかかりやすくジャンプする度に小さな損傷が起こります。
それが積み重なって痛みを発症して、進行すると腱が一部断裂したり、最悪は完全断裂することもあります。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の一般的な対処法
膝蓋腱(いつがいけん)という腱に起きた炎症なので、
- 安静にする
- 炎症を抑える
- (腱の負担を減らすための)大腿四頭筋や大腰筋のストレッチ
などで対処します。
オーバーユース(使い過ぎ)が原因と考えられているので、休養が必要なのですが、練習ができる程度だと痛みを我慢しながら競技を続けてしまう選手が多いのではないでしょうか?
仮に、十分に休養をとってもすんなり改善しないケースもあります。
それはなぜか?
どうすれば良くなるのか?
その答えもこの論文に示唆されています。
筋膜マニピュレーション®による膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療
それでは参りましょう。
タイトルは、“Treating patellar tendinopathy with Fascial Manipulation”
日本語に訳すと「筋膜マニピュレーションによる膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療」って感じですかね。
“Treating patellar tendinopathy with Fascial Manipulation”
Alessandro Pedrelli, PT, Carla Stecco, M.D., Julie Ann Day, PT
Corso U. Comandini, 12/B, 47023 Cesena, Italy
Section of Anatomy, Department of Human Anatomy and Physiology, University of Padova, Via A Gabelli 65, 35127 Padova, Italy
Centro Socio Sanitario dei Colli, Physiotherapy, Azienda Ulss 16, Padova, Italy
研究の概要
この論文では、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の症状を抱えている被験者18名の協力を得てある実験が行われています。
実験に協力してくれた18名の内訳は、男性13名、女性5名。
年齢は17歳から40歳。平均年齢は29.9歳
発症してからの期間は最短で1か月、最長で24か月(2例)。
ほとんどの方がバスケットボールやバレーボール、サッカーなどのスポーツ歴があります。
スポーツの経験がないのは4名でした。
急性の関節炎(浮腫・熱感・発赤が認められるもの)、MRI・レントゲン検査で半月板損傷や変形性膝関節症のあるケースは被験者から除外されています。
実験の方法は、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に最も深く関与していると考えられるポイント(an-ge)の筋膜を施術して、施術前・施術直後・1か月後の痛みを比較するというもの。
下の図の黒い点が治療ポイントです。
引用元:Treating patella tendinopathy with Fascial Manipulation
痛みの評価には、VASスケール(vocal analogue scale)という基準を使います。
被験者に1から10の数字で痛みの程度を評価してもらいます。
「痛みがないのを0、耐えられない痛みを10とすると、この痛みはいくつ位ですか?」というように。
筋膜マニピュレーション®では一つの分節(今回は膝)について6方向(前・後、内・外、内旋・外旋)へ動かして状態を評価します。
今回は基本の6つの他に2つの検査を加えて、痛みを評価しています。
- 30cmの台から痛む方の足で降りて体重を支える
- 深くしゃがみこんだ状態からジャンプする
敢えて膝蓋腱に負荷を与えて治療効果を判定しようということでしょうね。
引用元:Treating patella tendinopathy with Fascial Manipulation
施術するのは膝の前方への動きに関与する筋膜、「前方ー膝(an-ge)」1か所のみ。
技術の差によって結果が左右されないように、1人のセラピストが18人全員を施術します。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)を筋膜マニピュレーション®で治療した結果
実験の結果をグラフにまとめたのがこちらです。
引用元:Treating patella tendinopathy with Fascial Manipulation
グラフの縦軸は痛みの程度(VASスケール)を表しています。
横軸の1~18の数字は18人の被験者を表していて、
- 青→施術前の痛みの程度
- 赤→施術直後の痛みの程度
- 黄→1か月後の痛みの程度
を表しています。
整理すると、18例全てで施術前より施術後に痛みが減っています。
この結果を4つのグループに分けると、
- 施術直後に痛みが全くなくなり、1か月後にも痛みがなかったケース。2例(7,10)
- 施術直後にかなり痛みが減って、1か月後には痛みがなくなっていたケース。4例(3、4、6、18)
- 施術直後に痛みが減り、1か月後にさらに痛みが減っていたケース。9例(1、2、5、8、11、12、13、14、16)
- 施術直後に痛みが減ったが、1か月後に(施術前ほどではないが)痛みが戻っていたケース。3例(9,15,17)
これらの結果から、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)には筋膜マニピュレーション®がすごーく有効なことが分かります。
1か所への施術を1回しただけで、全員にある程度の効果が確認されていますからね。
今回は実験なので、敢えて1か所のみの施術でしたが、本来であればあと数か所のポイントをリリースすることになります。
そこまでの治療をすれば、グループ3の1か月後に痛みが少し残っていた9例(1,2,5,8,11,12,13,14,16)も痛みがなくなっていたかもしれません。
グループ4の1か月後に痛みが少し戻ってきた3例(9,15,17)は、他の被験者よりも複雑な症例だったそうです。
彼らは膝蓋腱炎(ジャンパー膝)だけでなく、腰痛、股関節痛、アキレス腱炎や踵(かかと)の痛みを抱えていました。
こういったケースでは、継続的でより全身的な治療が必要になります。
まとめ
さて、冒頭で「膝蓋腱炎(ジャンパー膝)が休んでも治らないのはなぜ?」という問いの答えが論文にあるとお伝えしました。
そのことについて説明しましょう。
筋膜は使いすぎると固くなってしまいます。
筋膜は線維で編まれたネット状の組織です。
筋膜の線維が固くなってしまうと、その下にある筋肉は正常に伸びたり縮んだりできなくなります。
筋肉の動きが不自然になってしまうのです。
私たちが歩いたり、走ったり、ジャンプしたりする時、たくさんの筋肉たちが協力して働いています。
筋膜の固さはその協調性を乱してしまうのです。
その犠牲になるのが関節です。
筋肉たちの協調性が損なわれると、関節に負担がかかります。
関節の正常な曲げ伸ばしができなくなって、どこかにストレスが生まれるのです。
例えば、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)では膝関節の前側にストレスがかかってお皿の腱や靭帯に炎症が起きるのはそのためです。
炎症反応は、消炎鎮痛剤を使ったり、安静にすることで治まりますが、それでは筋膜の固さは解決しません。
筋膜に固さがある限り不自然な関節の動きは改善しないのです。
だから、休んでいるのに良くならなかったり、治ったと思って復帰すると再発してしまうのです。
ジャンパー膝のようなオーバーユース(使い過ぎ)による痛みは、筋膜のよじれが関係しています。
「早く競技に復帰したい!」
「痛みなく競技に打ち込みたい!」
そう思うのであれば、筋膜マニピュレーション®を試してみてはいかがでしょうか?
お役に立てる自信があります。
こちらの記事では、ジャンパー膝の改善例をご紹介しています。ぜひ、ご一読ください。
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