中学生サッカー選手のグロインペイン(鼠径部痛)が2回の筋膜調整(Fascial ManipulationⓇ)で改善!
中学生サッカー選手のグロインペインシンドローム(鼠径部痛症候群)の改善例をご紹介します。
今回の患者様は、中学(3年)生サッカー選手のNくん。
幼稚園からサッカーを始めて、サッカー歴は10年になります。
夏休み明けに中学最後の大会が控えていますが、2カ月半前から右の鼠径部(そけいぶ)が痛みだし、なかなか良くなりません。
最後の大会に向けて、「痛みを気にせずに思いっきりプレーしたい!」ということでご来院いただきました。
それでは、参りましょう!
この記事の内容
中学生サッカー選手、Nくんのグロインペインの症状
以下、Nくんのお話。
いま、中学3年生で、サッカーをやっています。
2カ月半くらい前から股関節の前側(鼠径部:そけいぶ)に痛みがあってなかなか良くなりません。
サッカーができないほどではないのですが、痛みがあるので全力でプレーできないのがもどかしいです。
夏休みが明けると中学最後の大会があります。
それが終わると部活引退なので、しっかり治して思いっきりサッカーがしたいです!
学生時代にスポーツに打ち込む期間は思いのほか短いものです。
ただでさえ短い期間なのに、怪我で思ったようにプレーできないなんて残念すぎますよね。
私の息子(柿沼淳)も学生時代は怪我に苦しんだので、保護者の気持ちもよく分かるつもりです。
グロインペインの中学生サッカー選手、Nくんの痛む場所
先ずは、痛む場所を確認します。
※写真はご本人にご協力いただきました
股関節の前側、鼠径部(そけいぶ)と呼ばれるところです。
グロインペインの中学生サッカー選手、Nくんの動きの検査
基本的には、走ると痛みがあります。
他にも以下の2つのストレッチをすると痛みが出ます。
この写真は2回目の施術の後に撮らせていただいたので、十分な可動域がありますが、治療前はもっと膝の位置が高くなっていました。
グロインペインの中学生サッカー選手、Nくんの初回の施術
Nくんによると、小学3年生の時に右の足首をひねって剝離(はくり)骨折、1カ月半ほど固定していたことがあるそうです。
筋膜が固くなる(滑りが悪くなる)原因は、主に3つ。
- 怪我(捻挫、骨折、肉離れなど)
- 使い過ぎ(オーバーユース)
- 使わなすぎ(骨折による固定など)
Nくんの足首の筋膜には問題が生じている可能性が高そうです。
その点を踏まえて、足首・膝・股関節を中心に筋膜の状態をチェックしました。
グロインペインの中学生サッカー選手、Nくんの筋膜の状態をチェック!
赤い点が痛む場所、黄色い点が筋膜の固くなっている(滑りの悪い)場所です。
以上の黄色い点、6カ所をリリースすると、ストレッチでの痛みは消失しました!
治療の翌日、保護者から以下のメッセージと共に2回目の予約を頂きました。
7月20日に治療を受けさせていただき、その効果をとても実感し
ました。ストレ
ッチ系統の動きで痛みが出ることはなくなり、動くとまだ痛みはありますが、動
きがすごく軽くなりました。完全に治すために、2回目の治療を受けさせていた
だきます。よろしくお願いします。
グロインペインの中学生サッカー選手、Nくんの2回目の施術
2回目の施術は1週間後でした。
その後の経過を確認すると、
もうこの前のストレッチをしても、走っても痛まなくなりました!ただ、サッカーの練習の後と「こういうストレッチ」をすると少し痛みがあります。
それから、右がよくなったら左も少し痛むことに気がつきました。
時間があれば、左もお願いしたいです。
とのことでした。
「こういうストレッチ」とは下の写真をご覧ください。
カエル足のようにして、上体を反対方向へ捻ると股関節に痛みが出ます。
これは左右とも痛みがありました。
治療のための仮説を立てて、筋膜の状態をチェック!
例えば、Nくんのように左右両側に症状がある場合、「体幹(骨盤・腰部・胸部)を経由して両方の股関節に影響が出ているのではないか」と考えます。
なので、今回は骨盤周囲の筋膜もチェックすることにします。
その結果は以下の通りです。
赤い点が痛む場所、黄色い点が筋膜の固くなっている(滑りの悪い)場所です。
予想したとおり、骨盤にも筋膜の固くなっている(滑りの悪い)所がありました。
以上の7箇所をしっかりリリースすると、「カエル足のストレッチ」での痛みは消失!
治療が上手くいった実感があったので、Nくんに写真を撮らせてもらい、改善例として紹介することをご快諾いただきました。
まとめ
グロインペインは、グロインペイン症候群とも言われます。
つまり、様々な原因が考えられ、本当の原因をみつけるのが困難な疾患なのです。
- 恥骨結合炎
- 腸腰筋炎
- 大腿直筋炎
- 腹直筋付着部炎
などが原因になると考えられています。
レントゲンやMRIなどの画像で炎症の起きている場所を特定することはできるかもしれません。
では、どうやってその炎症を抑えるのでしょうか?
安静にすれば、治るのでしょうか?
これまで多くのグロインペインの方を診てきましたが、みなさん「安静にすれば痛まなくなるけれど、競技復帰するとまた痛んでしまう」と仰っています。
それは、痛む場所(股関節)に負担をかけている要素を取り除けていない、ということだと思います。
今回のNくんは、小学3年生の時の剝離骨折が股関節に影響していたと考えられます。
痛む場所は股関節だとしても、そこに原因があるとは限りません。
筋膜調整(Fascial ManipulationⓇ)は、痛みのある場所だけでなく、過去の怪我などの離れた場所からの影響も考慮して治療を行います。
より全体的な視野で疾患を捉える、と言っても良いかもしれません。
この方法なら、あなたのグロインペインも改善できるかもしれません。
ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?