“脊柱管狭窄症”と診断された坐骨神経痛のような痛みが筋膜調整で改善!
この記事の内容
「歩くと痛む、休むと楽に」脊柱管狭窄症による坐骨神経痛様症状の改善例
諦めかけていた坐骨神経痛のような痛み
「長く立っていると腰からお尻、太ももにかけてズーンと痛みが広がる…」「少し歩くと足がしびれてきて、立ち止まって前かがみにならないと辛い。」
このような、いわゆる坐骨神経痛のような症状に悩まされてはいませんか?病院で検査を受け、「脊柱管狭窄症」と診断された方も多いでしょう。
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経のトンネル(脊柱管)が狭くなることで起こります。しかし、診断名を聞くと多くの方が「手術しかないのでは…」「もう改善しないのでは…」と諦めかけてしまいます。特に、腰だけでなく骨盤、お尻、太ももにまで痛みやしびれが広がると、買い物や散歩といった日常生活の質は大きく低下してしまいます。
当院が注目する「坐骨神経」と「筋膜」の関係
当院では、この脊柱管狭窄症が引き起こす坐骨神経痛様の症状に対し、単に骨の構造的な問題として捉えるだけでなく、その周囲の筋肉を包む「筋膜」の状態に深く着目したアプローチを行っています。
この記事ではまず、脊柱管狭窄症がなぜお尻や太ももまで痛みを出すのか、そのメカニズムを分かりやすく解説します。そして、長い間つらい症状に悩まされていた患者様が、当院の筋膜調整(Fascial ManipulationⓇ:ファッシャルマニピュレーション)によって歩行時の痛みやしびれを克服された具体的な改善事例をご紹介します。
長引く痛みやしびれを改善し、快適に歩ける日常を取り戻したい方は、ぜひ最後までお読みください。
脊柱管狭窄症と「坐骨神経痛のような痛み」のメカニズム
1. 脊柱管狭窄症とは?神経の通り道が狭くなる状態
私たちの背骨(脊柱)の中央には、脳から続く大切な神経のトンネルが通っています。これを「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼びます。
脊柱管狭窄症とは、このトンネルが主に加齢や負担の蓄積によって狭くなり、中に通っている神経や血管が圧迫されてしまう状態のことです。特に腰の部分(腰椎)で起こることが多く、「腰部脊柱管狭窄症」と呼ばれます。
トンネルが狭くなる主な原因は以下の通りです。
- 骨の変形:骨の一部がトゲのように硬く変形する。
- 靭帯の肥厚:背骨を支える靭帯が分厚く硬くなる。
- 椎間板の変性:骨と骨の間のクッション(椎間板)が飛び出す、または潰れる。

※引用元:https://www.jnj.co.jp/jjmkk/general/spinalstenosis
これらの変化により、神経が通るスペースが狭くなり、神経が圧迫されて症状が現れます。
2. なぜ坐骨神経痛のような症状が出るのか?
脊柱管の中を通っている神経の束は、腰の下部から一本の太い神経(坐骨神経)となってお尻、太もも、足先へと伸びています。
狭くなった脊柱管で神経が圧迫されると、その影響はトンネルを出て行く坐骨神経のルートに沿って現れます。

※坐骨神経(SCIATIC NERVE)の走行のイメージ図
- 痛みとしびれ:圧迫された神経が炎症を起こしたり、血流が悪くなったりすることで、神経の末端であるお尻や太もも、ふくらはぎにかけて、坐骨神経痛とそっくりな痛みやしびれが放散します。
- 特徴的な症状(間欠性跛行):脊柱管狭窄症の非常に特徴的な症状として、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。これは、立っていたり歩いたりすると痛みやしびれが強くなるため少し休むと楽になり、また歩けるようになるという現象です。これは、立っている時や歩いている時に腰を反らす姿勢になることで、狭くなっている脊柱管がさらに圧迫されるために起こります。座っている時や前かがみ(自転車に乗る姿勢など)の姿勢では、脊柱管が広がり神経への圧迫がゆるむため、症状が和らぐことが多いのもこの病気の特徴です。
神経症状と筋膜の深い関わり:神経を包む膜(神経鞘)の役割
1. 神経を守る「神経鞘(しんけいしょう)」とは
神経は体の中で単独で存在しているわけではなく、電線が被膜で覆われているように、何層もの膜構造によって厳重に保護されています。この保護膜を総称して「神経鞘」と呼びます。そして、「神経鞘」を構成する膜組織も筋膜の仲間なのです。
神経鞘の最も重要な役割は以下の通りです。
- 保護:外部からの物理的な圧迫や摩擦からデリケートな神経線維を守る。
- 滑走(グライディング):体を動かす際に、神経が周囲の組織とスムーズに滑り合いながら動くことを可能にする。
2. 隣接する「筋膜」が神経症状を引き起こすメカニズム
神経鞘は、そのすぐ隣にある筋肉を覆う筋膜(きんまく)とつながっています。このつながり(連続性)が、坐骨神経痛のような症状を引き起こす重要なカギとなります。
① 筋膜の硬さが神経の動きを妨げる
筋膜が、使いすぎや怪我などによって硬く、あるいは分厚くなると、そのすぐ隣にある神経鞘に対しても悪影響を及ぼします。
- 滑走性の低下:硬くなった筋膜は、隣接する神経鞘の滑らかな動きを物理的に邪魔します。腕を動かしたときに、神経が周囲の組織から「摩擦ストレス」を受けやすくなります。
② 神経鞘そのものが硬くなる
筋膜の硬さによる継続的な圧迫や炎症、滑走性の低下といったストレスは、最終的に神経鞘そのものを硬く変化させる原因となります。
神経鞘が硬くなると、本来あるべき柔軟性や伸縮性が失われ、結果として神経自体が外部からの刺激に対して非常に敏感な状態になります。
3. 坐骨神経痛などの神経症状が筋膜で改善する可能性
坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、骨の構造的な問題によって神経根が圧迫されるのが主な原因とされます。しかし、筋膜との関係を考慮すると、症状発現のメカニズムはより複雑になります。
筋膜の硬化が神経鞘の動きを阻害し、神経の「滑り」を悪化させることで、例え骨による圧迫(ヘルニアなど)が軽度であっても、神経が敏感になり過剰に反応する状態(坐骨神経痛のような痛みやしびれ)を発症させやすくなるのです。
つまり、筋膜をケアし、周囲の組織との滑走性を取り戻すことは、単に筋肉の痛みを和らげるだけでなく、神経症状の根本的な改善においても極めて重要なアプローチとなります。つまり、筋膜へのアプローチで「神経症状」が改善できる可能性があるのです。
8ヶ月お尻と腰の痛みに苦しんだKさん(70代男性)の改善例
Kさんの脊柱管狭窄症の背景
以下、Kさんのお話。
8ヶ月前から右の尻と腰が痛くて困っています。
特にきっかけになるような事は思い当たりません。
整形外科でMRIを撮ったら「脊柱管狭窄症」だと診断されました。
うちはコタツの生活なのですが、座る時、座っている時、立ち上がる時に強く痛みます。
午前よりも夕方の方が痛みが強くなりますし、右足に体重を乗せるだけでも痛みます。
歩いていても痛くなるので、せいぜい15分歩くのがやっとです。
20代の頃にひどい「坐骨神経痛」をやっているので、そういうのが年を取って影響しているんですかね。
お尻と腰の痛みにお悩みのKさんの状態をチェック
Kさんの痛む場所と痛みが出る条件を確認
腰の痛みはこの辺りに

※写真はご本人にご協力いただきました
Kさんはコタツに座る時、座っている時、立ち上がる時に痛むと仰っていました。


立ち上がる時は、この態勢でお尻に痛みがありました。
過去の怪我や痛みの影響
筋膜は怪我などによって硬く(滑りが悪く)なってしまいます。
一度、硬く(滑りが悪く)なった筋膜は時間が経っても回復しません。
そのため過去の怪我や痛みの歴史が大きな手掛かりになるのです。
Kさんは20代の時にひどい坐骨神経痛に苦しみました。
当時は右太ももの外側が痛くて辛かったそうです。
このことから腰だけでなく右足全体をチェックする必要があると判断しました。
Kさんの筋膜の状態を確認
過去の怪我を考慮してKさんの筋膜を確認したところ、下のイラストの黄色い点に筋膜の硬さ(滑りの悪さ)がみつかりました。赤い点は痛むところです。


Kさんへの筋膜調整
初回の施術
初回は上のイラストの黄色い点、5ヶ所をリリースしました。
特に太ももの前側と後ろ側のポイントが硬く(滑りが悪く)感じられました。
2回目の施術
2回目は2週間後。
残念ながら症状に変化はなく、痛いままでした。
2回目は以下の4ヶ所をリリースしました。


3回目の施術
3回目は、また2週間後。
今回も症状に変化はなく、痛いままでした。残念過ぎる。
そこで、もう一度筋膜の状態を確認したところ、これまでとは違うところに筋膜の硬さ(滑りの悪さ)がみつかりました。
下のイラストの5ヶ所をリリースです。


この時も施術の後の検査では、症状に変化はありませんでした。
施術の結果は!?
3回目の施術の後、Kさんはご来院されませんでした。
「良くならなかったのかな?もう諦めてしまわれたのかもしれないな。残念だな。」と肩を落としたものでした。
しかし!
なんと10ヶ月後にKさんは再びご来院されて、こう仰いました。
いやー、あの時はありがとうございました。
3回目の施術を受けた直後は「あまり変わらないな」と思っていたのですが、2週間ほど経ってから痛みが急に良くなって、もう通わなくても大丈夫だなと。
まだ違和感は残っているんですが、ほとんど気にならなくなっています。
本当にありがとうございました!
今回は右肩の治療をお願いします!
いやー、良かった!
まとめ
Kさんはお尻と腰に痛みが出て、整形外科を受診して「脊柱管狭窄症」と診断されました。
その後、リハビリなどをしても8ヶ月も症状に変化はありませんでした。
それが当院の筋膜調整(Fascial ManipulationⓇ)3回で「ほとんど気にならない」程度にまで改善しました。
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによる「坐骨神経痛」などの神経由来の症状は、筋膜と関係がなさそうに思われがちですが、解剖学的な構造を考えると、筋膜の硬さが間接的に神経を刺激しているケースが多いと考えています。
Kさんの場合は、正にそれが当てはまっていたからこそ、これだけ短期間で改善されたのだと思います。
仮に、椎間板ヘルニアなどが物理的に神経を刺激しているケースであっても、筋膜の硬さ(滑りの悪さ)がほぐれると症状が改善する可能性があります。
あなたの神経症状も筋膜が関与しているかもしれません。
少しでも可能性を感じるのであれば、一度施術を受けてみてはいかがでしょうか。