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MTBライダーの2ヶ月治らない肩から指先までの痛みと痺れ(神経根症)が筋膜調整で改善⁉︎

 
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鍼灸師、あんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得しています。 でも、鍼は使わず、手技のみで「筋膜(fascia)」の調整をしています。 イタリアの理学療法士、ルイージ・ステッコ氏によって考案された『筋膜マニピュレーション®』の国際コースを全て修了しています。さらに、2018年6月にイタリア本部で試験を受けて、筋膜マニピュレーション®セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)として正式に認定されました。この認定を受けているのは日本ではまだ24人。さらに、イタリア本部で試験を受けたのは6人だけ。日本では数少ない筋膜のプロフェッショナルです。
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首から肩、腕、そして指先にかけて、ジーンとしたしびれや痛みが続いていませんか?
病院で“頚椎の神経根症”と診断され、痛み止めやリハビリを受けてもなかなか改善しない——そんな悩みを抱えて来院される方は少なくありません。

日常生活でも、

  • 長くデスクワークをしていると腕が重だるくなる、痛む、しびれる
  • 夜寝ているときに痛みやしびれで目が覚める
    といった不快な症状が続くと、本当につらいですよね。

でも、諦めるのはまだ早い!

神経による症状でも筋膜へのアプローチ(Fascial ManipulationⓇ)で改善できる可能性があります。

【なぜ腕が痛む?】頚椎(首の骨)の「神経根症」をわかりやすく解説

原因:首の骨と骨の間で「神経が挟まれる」こと

私たちの首の骨(頚椎)の中には、脳から体へと情報を伝える大切な神経の束が通っています。

この神経の束から枝分かれして、肩や腕、手へと伸びているのが「神経根」と呼ばれる、いわば電気コードの根元のような部分です。

頚椎の神経根症とは、加齢や負担の蓄積によって、首の骨の周りでこの大切な電気コードの根元がギュッと圧迫されてしまう状態のことを指します。

神経を圧迫する主な原因は、時間が経つにつれて首に起こる以下のような変化です。

  • クッション材の飛び出し:骨と骨の間にある椎間板(クッション)が少し飛び出し、神経に触れてしまう。
  • 骨の変形:骨の一部が硬く変形し(トゲのようなもの)、神経の通り道を狭くしてしまう。

神経が途中で強く挟まれると、その先にある腕や手にも異常な信号が伝わり、「痛み」や「しびれ」として現れるのです。

症状:首から手先まで広がる「痛み」や「しびれ」

神経がピンチ(圧迫)されることで出る症状は、主に以下の3つです。

  • 電気が走るような痛み(放散痛)
    • 首や肩甲骨の周りから始まり、肩、腕、そして指先にかけて、特定のルートをたどるように広がる鋭い痛みです。
    • 上を向いたり、首を特定の方角に傾けたりすると、痛みが強くなることが多いです。
  • 感覚の異常(しびれ)
    • 腕や手の特定の場所、特に特定の指先などにしびれやジンジンとした感覚が現れます。触られている感覚が鈍くなることもあります。
  • 力の入りにくさ
    • 症状が進むと、神経が支配する筋肉に力が伝わりにくくなり、握力が弱くなったり、腕を上げるのが難しくなったりすることがあります。

この症状は、多くの場合、どちらか片方の腕に出ることが特徴です。

神経症状と筋膜の深い関わり:神経を包む膜(神経鞘)の役割

1. 神経を守る「神経鞘(しんけいしょう)」とは

神経は体の中で単独で存在しているわけではなく、電線が被膜で覆われているように、何層もの膜構造によって厳重に保護されています。この保護膜を総称して「神経鞘」と呼びます。そして、「神経鞘」を構成する膜組織も筋膜の仲間なのです。

神経鞘の最も重要な役割は以下の通りです。

  • 保護:外部からの物理的な圧迫や摩擦からデリケートな神経線維を守る。
  • 滑走(グライディング):体を動かす際に、神経が周囲の組織とスムーズに滑り合いながら動くことを可能にする。

2. 隣接する「筋膜」が神経症状を引き起こすメカニズム

神経鞘は、そのすぐ隣にある筋肉を覆う筋膜(きんまく)とつながっています。このつながり(連続性)が、神経根症のような症状を引き起こす重要なカギとなります。

① 筋膜の硬さが神経の動きを妨げる

筋膜が、使いすぎや怪我などによって硬く、あるいは分厚くなると、そのすぐ隣にある神経鞘に対しても悪影響を及ぼします。

  • 滑走性の低下:硬くなった筋膜は、隣接する神経鞘の滑らかな動きを物理的に邪魔します。腕を動かしたときに、神経が周囲の組織から「摩擦ストレス」を受けやすくなります。

② 神経鞘そのものが硬くなる

筋膜の硬さによる継続的な圧迫や炎症、滑走性の低下といったストレスは、最終的に神経鞘そのものを硬く変化させる原因となります。

神経鞘が硬くなると、本来あるべき柔軟性や伸縮性が失われ、結果として神経自体が外部からの刺激に対して非常に敏感な状態になります。

3. 神経症状の本質:構造的変化による神経の「ストレス」

頚椎の神経根症は、椎間板ヘルニアや骨の変形など、骨の構造的な問題によって神経根が圧迫されるのが主な原因とされます。しかし、筋膜との関係を考慮すると、症状発現のメカニズムはより複雑になります。

筋膜の硬化が神経鞘の動きを阻害し、神経の「滑り」を悪化させることで、例え骨の圧迫が軽度であっても、神経が敏感になり過剰に反応する状態(神経根症のような痛みやしびれ)を発症させやすくなるのです。

つまり、筋膜をケアし、周囲の組織との滑走性を取り戻すことは、単に筋肉の痛みを和らげるだけでなく、神経症状の根本的な改善においても極めて重要なアプローチとなります。つまり、筋膜へのアプローチで「神経症状」が改善できる可能性があるのです。

MTBライダーSさん(50代男性)の頚椎性「神経根症」の背景

Sさんの趣味はマウンテンバイクとロードバイクでレースに参加されています。時々は登山もされるとのこと。2ヶ月前から右腕(肩から指先)の痛みと痺れに悩まされていました。

以下、Sさんのお話

始まりはあまり記憶にないのですが、年始(2025年)には指先のしびれがあったように思います。

2月になってから、「午後から右腕が痛くなってきて夜になるほど辛くなる」という状態でした。

ただ、一晩寝て朝になると痛みはなくなる毎日でした。

特にPC作業が良くない印象でしたが、自転車には乗れていましたが乗っていると痛くなってきます。

鎖骨を2回骨折してるし、昨年12月にも酷い打撲をしているせいかなと思っていました。

ところが、2/25に朝から晩まで痛みが走るようになり、現在も続いています。

整形外科でMRIを撮ってもらったら「頚椎4ー7の椎間板がすり減って骨棘もできているので、おそらく頚椎5ー7番の神経根症ではないか?」との診断でした。

発症後、1週間は会社にも行けませんでしたが、少しずつ良くなって仕事はできています。

しかし、右腕の痛みと痺れは相変わらずで、整形外科で処方された「タリージェ」という神経痛の薬は全く効いていません。

鍼治療も何度か受けましたが、少し良くなっても直ぐに戻ってしまうのを繰り返しています。

何か新しいアプローチがないものかと思い、こちらにたどり着きました。

右腕の痛みにお悩みのSさんの状態をチェック

Sさんの症状の場所と痛みの出る条件を確認

Sさんの主な症状は右肩から指先(人差し指と中指)にかけての痛みと痺れ。

「ただずきずき特定の狭い範囲が痛むというよりは広くジーンと痛む感じなので、正直どこが痛いのかをうまく説明できていない気がします」と仰っていました。

※写真はご本人にご協力いただきました

痛みの条件としては、

  • PC作業
  • 腕で何かを押す(車椅子を押す等)
  • 腕に体重をかける(自転車に乗る)
  • 上を向く(仰向けになるのもキツイ)

この様に仰向けになると、途端にジーンと痛みとしびれが出ていました。

「上を向けないし、仰向けにもなれない」とのことでした。

過去の怪我の影響

過去に捻挫や骨折、手術などがあると、その周囲の筋膜が硬くなり、滑りが悪くなります。

筋膜の滑りが悪くなると痛みやしびれ、感覚異常の要因になるので、過去にどんな怪我があったかは重要な情報になるのです。

Sさんの場合、2023年にMTBで転倒し右鎖骨を骨折、2024年に同じ場所を再度骨折、12月にも鎖骨を打撲していました。

このことから、鎖骨や肩甲骨周囲の筋膜が硬くなっている(滑りが悪くなっている)可能性が高いと考えました。

Sさんの筋膜の状態を確認

過去の怪我を考慮してSさんの筋膜をチェックしたところ、以下の黄色い点に筋膜の滑りの悪いところがみつかりました。

赤い部分が痛みのある場所です。

Sさんへの筋膜調整

初回の施術(4月末)

初回は「首を上に向けられない、仰向けになれない」という状態でしたので、枕をして施術をしました。

先ほどのイラストの黄色い点を順番にリリースしたのですが、胸の2箇所を刺激すると、腕にかけていつもの痛みが再現されました。

治療中にいつも感じている症状が再現されるのはとても良い兆候だと考えられます。

2回目の施術(5月頭)

2回目は約10日後。

「昨日から少し良い感覚です。今日、自転車にも乗ってみましたが、感覚は良いかったです。」とのことでした。

2回目は手首と母指球のところまで、範囲を広げてリリースしました。

3回目の施術(5月中旬)

3回目も凡そ10日後。

「自転車に乗れるようになった。人差し指と中指にしびれはあるけど、痛みはなくなっている。」とのことでした。

3回目は肘の外側にもアプローチしました。

「6月には毎週のようにレースにエントリーしているけど、出られるかどうか分からない」と仰っていましたが、その後無事にレースに復帰されたようで、通院はこれで終了となりました。

まとめ

Sさんのケースは、発症後2ヶ月経った4月末にご来院いただき5月中旬までの3週間で3回の施術を行いました。

その結果、3週間で無事に競技復帰ができ、レースも参加できるようになりました。

「神経痛」や「神経根症」などの神経由来の症状は、筋膜と関係がなさそうに思われがちですが、解剖学的な構造を考えると、筋膜の硬さが間接的に神経を刺激しているケースが多いのではと考えられます。

Sさんの場合は、正にそれが当てはまっていたからこそ、これだけ短期間で改善されたのだと思います。

仮に、椎間板ヘルニアなどが物理的に神経を刺激しているケースであっても、筋膜の硬さ(滑りの悪さ)がほぐれると症状が改善する可能性があります。

あなたの神経症状も筋膜が関与しているかもしれません。

少しでも可能性を感じるのであれば、一度施術を受けてみてはいかがでしょうか。

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鍼灸師、あんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得しています。 でも、鍼は使わず、手技のみで「筋膜(fascia)」の調整をしています。 イタリアの理学療法士、ルイージ・ステッコ氏によって考案された『筋膜マニピュレーション®』の国際コースを全て修了しています。さらに、2018年6月にイタリア本部で試験を受けて、筋膜マニピュレーション®セラピスト(Certified Fascial Manipulation® Specialist)として正式に認定されました。この認定を受けているのは日本ではまだ24人。さらに、イタリア本部で試験を受けたのは6人だけ。日本では数少ない筋膜のプロフェッショナルです。
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