50歳を過ぎて通訳に挑戦したら想像以上に大変だった話(笑)
こんにちは!
成城・喜多見・狛江はもちろん、世田谷エリアで唯一の筋膜調整(Fascial Manipulation®)セラピストの柿沼秀樹です。
実は、2020年2月から日本 Fascial Manipulation 協会の国際コースで通訳を務めています。
自分の実力も知らずに軽い気持ちで引き受けてしまったのですが、実際にやってみると想像以上難しい。
最初は思うようにいかず、なかなか大変でした(笑)
とは言え、経験を積み上げることでなんとか格好がつくようになってきました。
あきらめずに継続して本当に良かった。
とても良い経験になりましたので、ここにその体験を記しておこうと思います。
語学学習で壁に当たっている人にはブレイクスルーのヒントになるかもしれません。
この記事の内容
きっかけ
2019年の秋に協会の通訳を務めている先生からお誘いいただきました。
これまでイタリアまで研修を受けに行ったり、認定セラピスト試験を受けたりする中で通訳に対する漠然とした憧れみたいなものを感じていました。
だって、カッコ良いでしょう?(笑)
最初は、本当にミーハーな気持ちでした。
英語で講義を聞いて内容を理解するだけなら自分にもできると思っていたので、なんとなく通訳もできるんじゃないかと思ってしまったのです。
いま、振り返ると全く自分の実力を分かってなかったですね。
よもや、よもやです。
穴があったら入りたい!(笑)
通訳デビュー
2020年2月14~19日の6日間で、レベル2のコースが開催されました。
講師はMarco Pintucci 先生。
※前日の懇親会にてMarco先生と
僕は初日の2/14と四日目の2/17に通訳として参加しました。
2/14 研修初日
この日が通訳デビューの日。
前日の夜は不安でなかなか寝付けなかったのを覚えています。
当日は、ベテランの長谷川先生(通訳のまとめ役のような存在)と僕の2人で担当しました。
先ずは、参加者からMarco先生への自己紹介と質問のコーナー。
前半を長谷川先生が、後半を僕が担当しました。
緊張しましたが、なんとか乗り切ったので安堵しました。
続いて、夕方にMarco先生による治療デモンストレーションがありまして、それも担当させていただきました。
長谷川先生から「大丈夫ですよ。何かあればサポートに入りますから。」と仰っていただいたので、思い切ってチャレンジしました。
下の写真はその治療デモの時のものです。
前方でマイクをもっているのが僕です。
結果は、まずまずの出来でした。
自分としては、予想以上にやれた感覚でいました。
しかし、そのささやかな自信もあっけなく打ち砕かれてしまうことになるとは、その時は想像もしていませんでした(笑)
2/17 2回目の通訳
この日は、ロマリンダ大学留学中(当時)の須賀先生と2人での担当でした。
須賀先生はイタリアへ認定試験を受けに行くきっかけを作ってくれた方で、認定試験の対策でも大変お世話になりました。
そもそも「通訳格好いいな。できたら自分もやってみたいな。」と思ったのは、須賀先生に憧れたからでした。
そんな須賀先生とペアだったので、少し緊張していましたが、楽しみの方が大きかった様に思います。
治療デモンストレーション後の質疑応答
午前中に高山先生による治療デモンストレーションがありました。
その後の質疑応答のセッションでMarco先生への質問やその答えの通訳を担当しました。
※写真は高山先生とMarco先生
それもそこまで難しくなかったので、なんとかやり遂げました。
午後からの講義で撃沈!
事件は午後からの講義中に発生しました!
須賀先生から「講義の通訳が一番むずかしいと思いますよ」と言われていたので、覚悟はしてました。
でも、それは想像以上でした。
講義の最初を須賀先生が担当して、途中から僕が交代することになっていたのですが、いざ交代してみると全くスムーズに訳せなくて、考える間が長すぎたり「えー、うー」と余分な音を発してしまいました。受講生には聞きにくい通訳だったと思います。
そして、とうとう「頭が真っ白」になってしまい、詰まって黙り込んでしまったのです。
さすがに須賀先生が見かねて、「代わりましょうか?」と助け舟を出してくれました。
いやー、本当に情けなかった。
何よりも受講生のみなさんに迷惑をかけてしまったのが申し訳なかったです。
「自分にはまだ講義を通訳する力はない」ということが良く分かりました。
さて、どうするか?
この結果を踏まえて、これからどうするのかを考えました。
僕の選択肢は2つ。
- 潔く通訳を辞退する
- なんとか実力を上げて通訳ができるようになる
でも、1の選択肢はほとんど考えませんでしたね。
なんとか力をつけて通訳ができるようになりたいと思いました。
「辞めるのはいつだってできる。もう少し頑張ってみよう!」
というのが結論でした。
残念ながらその後は、コロナウイルス感染爆発の影響で2020年に開催予定だった全てのコースがキャンセルになってしまいました。
僕にとっては、実力をつける準備期間が増えたとも考えられます。
ウェビナー通訳はじまる
コロナが世界中で猛威をふるう中、ファッシャル(筋膜)マニピュレーションのイタリア本部が無料のウェビナーを始めました。
ウェビナーとは、ウェブセミナーのこと。
日本ファッシャルマニピュレーション®協会も、このイタリアで開催されたウェビナーを日本語通訳付きで開催することになりました。
これを須賀先生と僕で引き受けました。
とにかく、通訳の経験を積みたかったので、僕にとっては好都合でした。
日本語版ウェビナーは、イタリアでのウェビナーを録画したものを再生しながら日本語通訳をつけるという形で行います。
日本での開催はイタリアの1週間後なので、その間に準備ができる。
この準備期間がなければ、とても僕には務まらなかったですね。
※第一回ウェビナー
記念すべき第一回のテーマは「ファッシャル(筋膜)マニピュレーションと鍼灸」でした。
最初はめちゃくちゃ大変でした。
須賀先生と半分に分けて担当するのですが、自分の所は全部文字に書き起こして覚えてしまうくらいに準備しました。
多分、20回くらい観たと思います。(笑)
それくらいやらないと、僕にはできない内容だったのです。
正直、実力以上の仕事を引き受けてしまった感じでした。
幸いというか、残念ながらというか、コロナの影響で治療院も暇になっていたので、空いている時間はほとんどウェビナーの準備に費やしました。(笑)
結局、6月から12月までの間に計11回のウェビナーを開催しました。
毎回予習が大変だったけど、段々と準備に必要な時間は短くなっていきました。
それだけ経験を積み上げても、通訳としての自信は生まれませんでした。
いつも「こんなの初見で通訳するのは無理だな」と思ってました。
大失敗から学んだこと
隔週で行ってきたウェビナー通訳ですが、大きな転機が訪れました。
あれは10月、確か第8回目の足関節がテーマのウェビナーでした。
講師はイギリスの足病医、イアン先生。
足部に関する知識が足りないのと、イアン先生の流暢な英国訛りで内容を理解するのが本当に大変でした。
イギリス英語って奥ゆかしい表現が多くて、僕にとってはまどろっこしいというか、煙に巻かれているというか「結局、何が言いたいの?」みたいな感じになることが多かったのです。
そんな中で迎えたウェビナー本番で通訳中に「頭が真っ白」になってしまいました。(笑)
悪夢、再び!って感じです。
この時は正直、落ち込みました。
参加者のみなさんにも迷惑かけちゃったし、この日の通訳は分かりにくかったと思います。
この時感じたのは、「これだけやってきたのにまだダメなのか」ということ。
どーんと落ち込んで、2~3日は英語に触れたくなかったです。
それこそ
「自分には通訳なんて無理なんじゃないか」
「潔く辞退した方が良いかも」
などと考えていました。
浮上のきっかけ
11/29(日)にFascial Training(ファシャルトレーニング)という筋膜にフォーカスしてトレーニングをしていくオンラインコースの通訳の予定がありました。
こんな実力では役に立たないんじゃないか、と不安になりつつもその準備をしないといけませんでした。
逃げていても仕方ない、ダメな自分と向き合おう。
そう思って、これまでずっと一緒にウェビナー通訳をやってきた須賀先生と自分との違いを分析してみたのです。
須賀先生とメッセージのやり取りをしながら大事なことに気がつきました。
須賀先生は、英語から受け取ったイメージを日本語にしようとしている
一方、自分は英語の単語ひとつひとつを日本語に変換しようとしている
つまり、単語(言葉)に囚われ過ぎていたのです。
実際に英語で話をしている時は、いちいち日本語にしないで話された内容をイメージとして受け取っています。
それなのに、通訳しようとすると言葉に執着して、その基本的なことが上手くできなくなっていたようでした。
この気づきが大きな転機になりました。
英語を聞いてイメージをを作って、そのイメージを日本語にしていくように心掛けると、内容の理解もしやすく記憶にも残りやすくなりました。
少しコツがつかめた感じがして、自信も芽生えてきました。
「これならやれるかもしれない!」と。
辛いときに支えてくれたもの(ネタバレ注意!)
10月の「足関節」ウェビナーの後は、本当に落込みました。
自分の駄目さ加減に嫌気がさして、全てを投げ出したい気持ちにもなりました。
そんな時に僕を支えてくれたものがあります。
それは、映画も大ヒットしている『鬼滅の刃』のワンシーンでした。
※映画を観に行った時にもらった入場者特典
上の絵にも描かれている煉獄(れんごく)さんの言葉が僕を救ってくれたのです。
漫画も全巻読みましたが、このシーンが一番刺さります。
まだ映画を観てない方にはネタバレになるかもしれませんが、その言葉を紹介したいと思います。
胸を張って生きろ
己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようとも
心を燃やせ
歯を食いしばって前を向け
君が足を止めて蹲(うずくま)っても時の流れは止まってくれない
共に寄り添って悲しんではくれない
この言葉のおかげで前を向けたというよりは、なんとか歯を食いしばって前を向いた頃にこのシーンを漫画で読んで猛烈に共感しました!
そのおかげで前進するエネルギーが倍加したと思います。
あんなに強い煉獄さんだって血を吐くような努力をして、それでも自分の情けなさに打ちのめされて、それでも前を向いて歩んで来たんだ。
僕がこんな所で立ち止まっている理由はない。
自分のできる範囲で良い、一歩一歩前進していこう。
そんな風に考えていました。
オンラインセミナー通訳
そしてとうとう運命の日、11/29がやってきました。
Fascial Training(ファシャルトレーニング)のオンラインセミナーです。
このために思いつくことは全て準備してきました。
緊張していましたが、やるべきことはやったので清々しい気持ちでした。
今回も須賀先生とのコンビで臨みました。
最悪の場合(また頭が真っ白になっても笑)でも須賀先生がいてくれるので心強かったです。
そんなことあてにしちゃダメか笑。
僕がセミナーの前半を担当しました。
始まってからは集中していたので、あっという間に時間が過ぎていきました。
途中で資料に載っていない内容が扱われたりして難しかったのですが、ウェビナー通訳を通して筋膜への理解が深くなっていたので、なんとか対応できました。
対応できたというと語弊があるかな。
通訳中は上手く内容が参加者に伝わっているか全く分からなかったので、不安でした。
対面のセミナーなら反応も伝わってくるんですけどね。
なんとか前半を終えて須賀先生にバトンタッチ。
こうして初めてライブでのオンライン通訳を終えました。
セミナー中はパニック状態で、自分がどの程度の仕事ができたのか分かっていませんでした。
だから正直、不安な気持ちでいっぱいでした。
もう終わったことなので、どうしようもないんですけどね。
そんな時、須賀先生から「良かったですよ!」とのメッセージをいただいて、すごく気持ちが楽になったのを覚えています。
そして初めて、「やりきったんだな」と思えました。
まとめ
今回の一連の体験を一言でいうと「諦めなくてよかった」です。
何度も挫(くじ)けそうになりました。
- もう無理
- 死にそう
- げろ吐きそう
と1人でいる時に弱音を吐いていました。(笑)
なかなか結果が見えないってしんどいですよね。
でも、10月の失敗で学んだ(気づいた)ことがこれまで積み上げたものを繋げてくれました。
実感はなかったけど、少しずつ前進していたんですね。
だから、語学学習など継続して何かを学んでいる人に言いたい、
「諦めるのはいつだってできる。もう少しだけ前へ進もう!」と。
確実に積み上げていれば、全てがリンクして状況がガラリと変わるようなことが起こります。
それはもう直ぐそこまで来ているかもしれません。
僕も決していまの力に満足している訳ではありません。
まだまだ課題は山積みですから(笑)。
でも、時間がかかっても良い、一歩一歩前へ進んでいこうと思います。
治療家としても通訳としても。
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